図-6
図-5
図-4
図-3
〈過去のデータ〉
 (1) 異なる魚礁を組み合わせた漁場の記録              (2) 高さ20mの大型単体魚礁の記録
図-2
図-1

●魚礁沈設位置確認調査について「漁場開発部:井上」
 長崎支所では、県・市町等発注の魚礁工事について竣工確認調査の一環として、魚礁沈設位置確認調査を実施してまいりました。魚礁が計画範囲に正常に設置されているかを、第3者の立場から確認する業務です。

〈業務内容・方法〉
 海底に沈む魚礁を確認する手段はいろいろあります。当支所には、ほかのページで紹介されているようなより正確な位置関係を把握できるサイドスキャンソナー、よりリアルにその状態を映像として見られるROVなど、精度の高い技術がありますが、この業務では速やかな成果報告が要求されるので、軽装備で汎用性があり、なおかつ多少の波浪条件下でも実施可能である精密音響測深機による調査をしています。それにより全体的な分布範囲や積み重なりなどの設置状況をとりまとめ図化する方式を採用しています。
 従来の魚礁沈設は中心位置に集積して沈設することが多かったことから(図1)、調査は測線間が中心部ほど密となり魚礁の集積状況を把握するのに適している放射誘導方式(図2)で実施してきました。しかし、近年は魚礁を沈設予定範囲内に分散させることも多くなっており(図3)、平成18年度から図4に示す南北または東西方向に平行な調査線を設けて範囲内を均一に測定し、魚礁の配置を把握するのに適している平行誘導方式へ改めることになりました。

 

 

 

 

 

 

 






































 この調査は当ホームページ内の担当者コラム『海洋版GISによる…』の説明にある位置誘導システムを用いて、モニター画面(図5)に自船の位置(図5、赤色矢印)と調査測線(図5、青線)を映し出し、目的の測線を走行し、音響測深機で魚礁の分布を確認します。調査範囲は魚礁の沈設計画範囲を十分に網羅するように設定し、例えば図5のように計画が直径200mの円内(図5、沈設計画範囲)であれば、280m×280mの方形内(図5、調査範囲)を調査するようにし、測線は20m間隔に設定しています。しかし、音響測深機は魚群探知機に比べ指向角(音波を発信する垂直方向に対する角度、精密音響測深機の特性参照)が小さいため探査範囲が狭く、加えて水深によって探査範囲が変化する (図6)ので、調査時の水深や波浪により補足の調査線を設けることがあります。以上の現地調査を行った後に、データをまとめて図3のような魚礁の分布図を作図します。
























〈精密音響測深機の特性〉
 この業務で使われる精密音響測深機の紹介をします。
 精密音響測深機がどういうものかと一言でいうと、「精密な魚探」です。では、魚探とどう違うかというと「指向角」が違います。魚探や音響測深機は、音波を送受信して海中や海底の様子を知るものです。その音波を出す角度が魚探より音響測深機の方が小さいので、魚探よりも測定する範囲は狭くなる反面、より詳細なデータを取れます。双方のデータの違いは下のようになっており、音響測深機では4m角型魚礁と2m角型魚礁の2段積みを見分けることができます!4m角型魚礁は高さ2m付近の陰が4m付近のそれよりも小さく出ることで違いを見分けられます。
 この音響測深機は、昭和55年前後から使い始めました。ちなみに、それ以前は漁船に備え付けの魚探で調査が行われていたようです。